参加ママの声
一番ケ瀬 瑶子さん
家族構成:お子さん2人(参加時4歳、0歳)
仕事内容:IT系企業勤務→ 起業(現在)
参加年度:2018年
「仕事=稼ぐもの」という狭い価値観を打破。NPO支援での衝撃が、起業へと繋がる大きな転機に
2人目の育休中に「大人としての自分」を持て余し、悶々としていた一番ケ瀬さん。ママボノでのNPO支援を通じて、「仕事観」が変化し、自ら起業するに至るまでの道のりを伺いました。
「大人としての自分」を持て余した育休。知的な刺激を求めて一歩外へ

1人目の育休の時は、何かしたいという意欲はありながらも、その場所を見つけられずに悶々と過ごしていました。資格取得や習い事にも挑戦しましたが、どこか満たされない思いを抱えていたんです。2人目の育休に入り、育児を優先にしながらも、私の中にあったのは「一人の人間として大人と会話する機会がない、頭を使う機会がない」という強いフラストレーションでした。
そんな折、子連れのMBA勉強会でママボノの存在を知りました。「今の限られた期間に、転職せずとも異なる組織の中で新しい経験ができる」という点に強く惹かれました。2-3ヶ月という有期プロジェクトであることも「短期の留学」のような感覚で、一歩踏み出す勇気をくれました
バリに拠点のあるNPOを日本から支援。不慣れな環境での「本物の実務」への挑戦
支援先は、バリを拠点に世界中の社会貢献活動家を支えるNPO団体でした。私たちは、現地で活動する助産師さんをプロモートするためのマーケティング支援を担当しました。7人のチームで、日本の助産師さんへのインタビューやアンケートデータの集計・分析といった、かなり具体的なタスクに取り組むことになりました。
当時はまだオンラインで初対面の人とプロジェクトを組むことに慣れておらず戸惑いもありました。また、赤ちゃんの世話に追われながらタスクを先送りしてしまい、不甲斐なさを感じることもありましたが、サービスグラントさんが整えてくれた環境や、チームメンバーとの対話、そして実際に日本の助産師さんに会いに行く活動の一つひとつが、日常に心地よい知的な刺激を与えてくれました。
「仕事=対価」から「仕事=生きがい」へ。目から鱗が落ちた出会い

ママボノでの一番の収穫は、私の中にあった「仕事」という概念が変わったことです。それまでの15年間の会社員生活で、私にとっての仕事とは「仕事をして、ちゃんと対価をいただく。そして対価を上げていく」という、今思えばとても狭い捉え方でした。
しかし、支援先のNPOの方々が「金銭的な報酬よりも、精神的な報酬やそこで得られる繋がり」に喜びを感じ、心底楽しそうに働いている姿を見て、大きな衝撃を受けたんです。「仕事で集まっているのに、こんなに楽しそうなの?」という驚きは、私の価値観を「お金を稼ぐための作業」から「自分を活かして世界と繋がるもの」とか「好きなものを大事にする」へと一気に広げてくれました。
また、異なる業界から来たママたちや、社会的な意義とプロフェッショナルなマネジメントを両立させるサービスグラントさんの姿にも、非常に多くの刺激をいただきました。
「自分を動かす力」が起業への一歩に。プロジェクトが残してくれたもの
活動終了後、一度は会社員に戻りましたが、ママボノで得た「自分の思いを大事にして価値を提供する」という感覚は、私の中にずっと残り続けました。その後、数年間のダブルワーク期間を経て、現在は自ら会社を立ち上げました。ママボノの時のタスク量は、今の私から見れば決して無理な量ではありませんでしたが、あの時「自律的に時間をやりくりして、外の世界と繋がった」という経験こそが、私の原点になっています。
プロジェクトメンバーとは活動終了後もLINEやZoomで近況を報告し合うなどつながりが続いています。あの時の小さな一歩が、その後の私のキャリアと人生を大きく変える転機となりました。
これから参加を考えているママへ
もし今、育休中で「大人としての自分」がくすぶっていると感じているなら、思い切って新しい扉を叩いてみてください。最初は不慣れな環境や時間のやりくりに戸惑うこともあるかもしれませんが、それは新しい自分へアップデートするための大切なプロセスです。 職場や家庭といういつもの枠から飛び出し、全く異なる価値観に触れる体験は、復職後のキャリアだけでなく、その後の人生を切り拓く大きな勇気を授けてくれるはずです。
※この記事は、2025年度に実施した東京大学社会学研究室の社会調査に関するインタビューを元に作成しました。

