【メンタリング支援先】チョイふる
【支援先団体】一般社団法人チョイふる
【団体の声】あだちキッズカフェ エリア長 井野瀬優子さん
【支援内容】 NPOメンタリングプログラム
プロジェクト当時の活動内容
本来たくさんある「はず」の選択肢を、少しでも身近に。
チョイふるは、親の所得の多寡によって子どもの教育の達成度に差が生じるという機会格差の問題に取り組んでいます。そして、子ども自身には選択できない生まれ育つ環境によって、人生が左右されている現実を変えることを目的に活動をしています。具体的な事業としては3つ。子育て家庭への無料の食品配達による見守り「あだち・わくわく便」、子ども食堂に遊びの体験をプラスした家でも学校でもない親子第三の居場所「あだちキッズカフェ」、個別最適化した子育て支援情報を届け、既存の支援制度につなぐ「繋ぎケア」です。
メンターが困りごとや悩みを聴きながら課題を整理し、活動を支援
居場所事業のエリア長である井野瀬さんには、NPOメンタリングプログラムに、メンタリングを受ける側(メンティー)としてご参加いただきました。
NPOメンタリングプログラムは、ママたちが2人組の「メンター」となり、NPOの代表者やスタッフの業務での困りごとや個人的な悩みも聴きながら課題を整理し、活動を支援するプロボノプログラムです。月に2回40分程度のセッションを、3か月間に渡り行いました。
NPOメンタリングプログラムの様子はこちら
https://www.servicegrant.or.jp/projectslist/mentor_choice-ful/
プロジェクトのその後
課題の整理だけでなく、自分の価値観にも気づく機会に
NPOメンタリングプログラムへの参加のきかっけは、所属先団体の代表から「こんなプログラムがあるから受けてみたら?」と声をかけてもらったことでした。最初は正直どんなプログラムなのかよく分からず、また、自分は色々抱え込むタイプではないので相談することはないかもと思っていました。
ですが、そのタイミングで、エリア長という取りまとめる立場になったり、またプライベートでもPTA役員になったりなど、人をまとめるという新しいチャレンジと不安があり、そのアドバイスなどもらえればと思って参加を決めました。
メンターは自分を映し出す鏡のような存在
メンタリングの初回で、メンターの方がざっくばらんに今思っていることやモヤモヤしていることなどあれば出してくださいと振ってくださり、とにかく話を聴いてくれました。その際に、自分の現状や行き詰っていると感じていることを中心に話したところ、メンターの方から「いろいろな話の中で『時間」という言葉が何回も出てきていますね」と、言われました。自分で気づかなかったキーワードを引き出してもらえて、それがその後のメンタリングの主となるテーマになりました。
メンターの方たちは聴き方や引き出し方がとても上手で、メンターからのフィードバックを受けて自分の関心ごとやテーマを俯瞰的に理解できました。そのため、メンタリングの時間が終わった後も、自分の価値観にそって、自身が苦手なことやそれにどう対応するかなど俯瞰してみる事ができることができました。
メンターの方々は、自分の話を聴いてくれて、引き出してくれて、私の言葉を繰り返してくれる、鏡のような存在でした。自分の話を映してくれて、その話をもとにまた自分で考えることができました。
メンターは2人で対応してくれましたが、2人とも同じ聴き方ではなく、1人の人が問いを投げかけたり、話の中からキーワードを拾ってくれたりしました。もう1人の方は寄り添い上手で、私の話を受け止めて共感してくれて、バランスがよかったと思います。
メンタリングが終わると、聴いてもらえたすっきり感と気づきもあって、1時間弱でしたが、とても色々なものが詰まっている時間でした。
自分のついての気づきが行動の変化に
普段、事業改善などについて振り返りをするような時間はありますが、自分自身について内省をしたり、大切にしている価値観などについて考える時間が持ちづらいので、あえてその時間が持てたのがよかったと思います。
メンタリングを受けて、生活面でも前向きに変化したことがありました。時間をテーマに、生活の中の時間の使い方を変え、「1日に1回●●をする」など目標を自分で立てるようになりました。それは、メンタリングの場で、目標やその結果、その後の変化などを報告でき、それを見てくれる人がいるからできたことだと思います。
メンタリング期間終了後も、気になっていることを後回しにしない、ちょっとした仕事もすぐやるように、行動に変化が起こりました。小さい変化でしたが、色々な面で変化が起きたと思います。
メンタリングの中で自己分析や仕事の洗い出しなどを経験したことで、自分でも仕事を全部書き出して整理する習慣ができたり、困ったことがあったときも行動や気持ちなどを文字に書き出し、思考と行動を客観的に整理する習慣もできました。
また、気持ちの整理がつかないまま次に進むというのが苦手で、整理してから進む方が自分にとって良いということも、気づかせてもらいました。それまでは、人に言えずそのモヤモヤに蓋をする感じでしたが、どのようなことを言っても聴いてくれるメンターは、自分にとってはなくてはならない存在でした。今は紙に書き出して整理をするようにしています。
NPOのリーダーや代表の方にも、ぜひ参加して欲しいプログラム
NPOメンタリングプログラムは、他のNPOの方にも必要だと思います。
目の前の活動に一生懸命でこういった場の必要性になかなか気づけないケースも多いと思います。そこを、参加したいと思ってもらえるような、上手な魅せ方ができると良いなと思いました。プログラムに参加してもらえれば、その良さが必ずわかると思います。
NPOで働く人たちは、想いや気合で動いているため、気づかないところで疲弊したり、タスクを抱え込み過ぎていたり、自分を失いかけている部分がある人が多いと思います。
だからこそ、このNPOメンタリングプログラムに参加すると救われる人は多いと、私は思います。特に、リーダーなどの中間管理職や代表の方は、ネガティブな気持ちになってもそれを出せずにいるのではと思いますが、ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちもフラットに聴いてもらい、前進する気持ちにさせてもらえるこのメンタリングプログラムをお勧めしたいです。
(2024年5月取材)