「聴く力を活かして社会貢献」経験者トーク
「聴く力」を活かして社会貢献!~相手が一歩踏み出せる対話のポイント~ 実施報告
復職後のママも参加できるママボノとしてスタートした「ママボノNEXT」の一つである「NPOメンタリングプログラム」では、「聴く」を通したNPO等の支援を行います。その紹介イベントにて、NPO法人Fineの元代表/現理事でもあり、企業やNPO等でコーチングの研修等を行う松本 亜樹子さんをお招きし、メンタリングとは何か、対話のポイントを伺いました。さらに、NPOメンタリングプログラム参加経験者のトークを交えながら、プログラムのご紹介をしました。 |
スペシャルゲストトーク/松本 亜樹子さん
NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)のファウンダー/理事であり、人材育成トレーナーとして5つのコーチングの資格を取得され、コーチとしてもご活躍の松本亜樹子さんに、「メンタリング」について、社会貢献と絡めながらお話いただきました。
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経験者トークセッション/NPOメンタリングプログラム参加者
ママボノに参加経験があり、その後メンタリングプログラムに2度参加されたご経験についてお話いただきました。
経験者トークセッション
畠里 紗世子さん
― 2人でのメンタリング、それぞれの経験から役割を分担
私はメンタリングプログラムに2回参加し、1回目と2回目でそれぞれ別の方とのペアで参加をしました。それら2回のメンタリングプログラムに共通したのが、メンティであるNPOの方が強みを言語化したい、というものが大きなテーマだったということです。また、メンター2人でメンタリングを行うということはあまり多くないことですよね。一般的にコーチングやメンタリングは一対一でする場合が多いと思います。ですので、実際にメンター2人でメンタリングをしたというのはどのように進めたのかをお話していきます。
初めて参加したメンタリングプログラムでは、私が未経験で、ペアの方が対人支援を主に仕事とされている方でした。ですので、ペアの方が対人支援の経験から具体的な内容を提案してくれました。セッション中、基本は3人で話はしますが、事前に2人で相談する中で「こういう手法があるよ」とか「こんなことやってみようか」というペアの方の提案のおかげで、それをセッション中に盛り込むことができていました。
2回目のメンタリングプログラム参加になると、今度は逆に私が経験者で、メンターのペアの方が初めてのメンタリングプログラム参加だったので、私が経験をもとにリードするような進め方でした。「前回はこんなふうにした」「こんな流れで行った」と伝えながら進めましたが、私も専門的な知識があるわけではないので、ペアの方の意見と合わせて「次回はこんなテーマを話していきましょうか」「このテーマが終わったら次どんなテーマにしましょう」「そのテーマであればこういうワークをやったことあるので、試してみますか」というような事前相談をしてセッションを重ねていきました。メンター2人の役割分担で言うと、お喋りが好きということもあり私が司会進行としてメインに喋りつつ、もう1人の方には適宜、途中で気がついたことを発言していただきながら、どんな流れでどんな結論になったかというまとめの話をしていただきました。
― メンタリングの進行内容はメンター2人で設計、事前には目線合わせ
メンタリングのセッションの中身、詳細な進め方については、運営側から大体の流れは示してもらえますが、セッションでのワークは決められたものは特になく、中身は個々に任されていました。時間は40分あるので、私たちの進め方は例えば以下のような感じでした。
最初5分〜10分でアイスブレイク、前回までのセッションでの感想、今日のテーマ決定。ただ時にはテーマを決めずに始まることもありました。そこから徐々に見えてきたテーマに沿って話をし、最後5分〜10分で今日のまとめと感想を伝えあいました。そして、「次回までこういうことに取り組んでましょうか」と、次回までの行動指針にしてもらうことを何か一つは入れ込んでいました。ですが、そのような課題を設定したくない人もいると思うので、やはり相手に合わせて、というところだと思います。
メンター同士での打ち合わせ時間はセッションの前後に取っていました。例えば8時からのセッションであれば、7時45分ぐらいに2人でオンライン会議に入って15分間で今日の計画を相談。そして、40分ぐらいでセッションが終わると、そのあと2人で今日の振り返りをし、議事録を作る相談や内容の確認をして、次回の見通しについて、こんなテーマを今回やったからこういう話ができたらいいかな、と簡単に話す流れでした。
メンターのチームによってはSlackなどを使ってテキストベースでやり取りされている方もいらっしゃれば、私たちのように1回数十分で相談する方もいたようです。いずれにしても事前の目線合わせを少ししておくと話しやすいかなと思います。
― メンターが2人であることのメリットは安心感と進めやすさ
メンターが2人でメンタリングするというのは安心感があります。メンタリングに正解も不正解もないことはわかってはいるんです。けれども、相手にとってできれば最適最善なセッションにしたいという気持ちがあったので、方向性や言葉遣い、テーマ選びなど、客観的に見て問題がないかなというのは、気になりました。そこは、やはりペアのメンターがいるからこそわかるものがあって、安心感につながりました。なおかつ私は話すことに専念できるので、進めやすかったです。一人だったら、自分一人で喋りながらまとめて次の展開を考えていくというのは、結構しんどさがあるだろうと思います。
― 相手が一歩踏み出せるポイントは、評価しないこと、オープンマインド
一番大切なのは、評価しないこと、ですね。私がコーチングやヨガを学んだ中に、「No judge No control」、という言葉があります。目の前の事象現象はあるけれど、それに良い悪いはつけず、判断せずにそれをそのまま置いておく、受け止めるというものです。そこが、私がメンタリングで気をつけて話を聞いていたポイントでした。
私は“評価者”じゃないんですよね。評価する人を相手に話をすると、やはりどうしても緊張感が出ますが、全くジャッジメントをしないと、何を話してもOKという安心できる雰囲気が作れますし、それをなおかつ社外の人に求めているというところが一番大事な部分なのかなと思っています。
あとは本当に、ざっくばらんに、オープンにすることですね。私自身嘘がつけないタイプなので、もう“腹全開“な感じでオープンに、私もペアのメンターの方も、最初の自己紹介の時から自分が自己開示できるところはオープンにしたことで、相手の方も話しやすい空気を作れたかなと思っています。
― メンタリング経験が人生の学びに
2回のメンタリングプログラムに参加したことは、私の人生の学びに繋がっていると思っています。具体的には、私が人を好きということに気づいたり、自分の経験を生かしながら新しい気づきを得られたりしたことがあります。
私は18年間同じ職業に就いていて、一切自分の業界以外の人と関わったことがありませんでした。このメンタリングプログラムを通して、NPO法人という団体さんの考え方を新しく知る機会になりましたし、毎回セッションを重ねるにつれて、その人となりがわかるおもしろさを感じました。さらに自分の経験を生かして「これをするのなら、もっとこういう考え方もできるんじゃない?」というアドバイスもできて、新しい視点もいただける。私にとっては天国みたいな社会貢献だと思っています。
― メンタリングを社会貢献ですることも学びに
企業や個人への一般的なメンタリングやコーチングと、NPO法人の方へ向けてのメンタリングで違う部分といえば、とにかく学びです。
メンタリングプログラムで話してくださる方は、社会貢献の思いを背負っていらっしゃる方、自分の課題だけでなく、社会の課題と所属している団体の課題も真剣に考えていらっしゃる方が多いです。特に社会課題に対するご自身の貢献度をとても突き詰めて考えられている方など、私はNPOの方の話を聴くたびに自分はそのようなことを考えただろうかと、自分を振り返ることがよくありました。「私より若いのに、うわーそんな考え方して生きてるんだ!すごいな!」っていう学び。そこへの感嘆の思いと、社会課題に対して考えてくれている人がいるから我々もこうやって生活ができることを知って感謝の思いも湧いてきました。
― メンタリングにスキルは不要、気持ちが大切 〜参加を検討している方へ〜
スキルは必要ないと本当に思っています。私自身、最初に「ママボノ」の方へ参加した時に、私はなんて何もできないんだ、という絶望に打ちひしがれたこともありました。けれど今回メンタリングという活動を通して、まだ自分にもできることあったなと気づくことができました。 “話を聴く”ということで社会貢献に繋がるって、こんなに幸せなことはないなと思っていますので、人の話を聴くのが好きな人がお互いのために貢献できると思います。話がうまくなくても大丈夫、むしろ話をしっかり聴くという気持ちがあれば、救われる団体さんがあると思っています。
「聴く力」を活かして社会貢献!~相手が一歩踏み出せる対話のポイント~
NPOメンタリングプログラムスペシャルゲストトークのレポートはこちら ▷
この記事は、ママボノ経験者の森亜希さんに作成いただきました。