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活動レポート

インタビュー|広がった視野の中で、もう一度見つめなおす自分(後編)

2021年02月24日
サービスグラント1000プロジェクト達成特別企画の一環として、「変革を担う女性」の育成を掲げる 津田塾大学 総合政策学科 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの学生たちが約10名のプロボノ参加経験者たちにインタビュー。プロボノ参加によって引き起こされる、キャリアや社会課題への関心の変化ついて、学生たちの視点から紐解きました。

育休からの復職や再就職など、再び仕事への一歩を踏み出すママのための期間限定プロボノプログラム「ママボノ」。 これまでの仕事やスキル、子育ての経験を活かして、ママの力を求めるNPOや地域団体を支援します。

今回は津田塾大学2年生の皆さんが、2020年度にプロジェクトへ参加した5名にインタビュー。自分のためにもなった、仲間ができた、社会の見え方が変わった…「ママ×社会貢献」の魅力を掘り下げます。

  • 青木祐利さん:金融系勤務にて、二人目のお子さんの育休中。2回目のママボノ参加。
    [東中野五丁目小滝町会(課題の見える化・解決策の提案)]
  • 栗原彩乃さん:二人目のお子さんの育休中に、ママボノ初参加。
    [中央福祉の会(マーケティング基礎調査)]
  • 坂本淳子さん:コンサル勤務にて、二人目のお子さんの育休中にママボノ初参加。
    [チッチェーノ・チッタ運営委員会(活動運営マニュアル)]
  • 野呂明子さん:私立学校勤務にて、二人目のお子さんの育休中にママボノ初参加。
    [ワーカーズ・コレクティブちろりん村(ウェブサイト改善提案)]
  • 宮崎裕美さん:小学校勤務にて、四人目のお子さんの育休中にママボノ初参加。
    [東中野五丁目小滝町会(課題の見える化・解決策の提案)]

※ママボノ プロジェクト一覧はこちらから

▼インタビュー後編(前編はこちら

コロナ禍でのデメリットが、プラスに働いたことも

――コロナ禍であることによって、活動やプロジェクトに影響はありましたか?

坂本:ママボノが社会との接点となったようなところがありました。コロナ渦で、普段利用している児童支援センターなども訪ねられず、ママ達が子どもを連れて集まって、おしゃべりできる場、人と話す機会が非常に減っていたんです。その中で、オンラインで繋がれたというのは社会への大きな窓だったなと思います。

野呂:近くの児童館が予約制になり、限られた人数しか参加できない状況でした。他のママ友と全然話す機会もなく、常に家にいる状況が続いていたので、オンラインで定期的に同じ人達と会って、雑談しながらミーティングに入っていくような時間はありがたかったなと思います。
メンバーの中で一人、福岡在住の方が東京のプロジェクトに参加していたんですけれども、Zoomでミーティングするからこそ、住んでいる地域が遠い方とも一緒のチームで活動できました。

青木:プロジェクトの中で町内会の方複数名にインタビューをする際、対面でなくオンラインにしなければならないという状況になりました。必ずしもデメリットではなく、オンラインだからこそ時間の調整がしやすかった面もあり、今回はそこがポジティブに動いたのかなという風に感じています。

栗原:私のチームの支援先団体さんは、交流の場づくりという活動をされてたいたんですが、コロナの影響が続くうちは集まることが難しく、その中でも出来る事も提案に盛り込みました。ただ、基本的には長い目で団体の活動を考えていらっしゃるということだったので、あまり今の状況だけにとらわれずに提案内容を考えていきました。

復職に向けて、自分ができることや好きなことをつかめた

――ママボノへの参加は、復職にどんな影響をもたらすでしょうか?

坂本:自分自身の今の能力について、棚卸ができました。他のメンバーの進め方を見て、「あっ、そういうリーダーシップの取り方もあるんだな」と参考になるところもありました。初めましてからチームを組んで、オンラインだけの2ヶ月のプロジェクトでこれだけ深い取り組みができたのには、ママ同士という共通項も大きかったと思うんですけれども、「チームってこうやって作っていけるんだな」というのを体験できたことが自信に繋がりました。週に5時間から10時間がママボノの稼働目安なのですが、その時間の中でこれだけの成果を出せたことで、「うまくチームで回していけば一人で抱え込まなくても作れる、掛けた時間の問題だけじゃないな」と思いました。春に復職が迫ったメンバーで夜会を企画しているんですけど、そういういい仲間ができたというのもメンタル的に救いになります。
それから、今後の自分の時間の使い方が変わってくるのではと思うことがありました。今回ママボノで、ボランティアとして誰かのためになる活動に関わってみて、「家庭か仕事か」という天秤ではない時間の使い方があるんだなと、改めて気づかせてもらったのは大きいです。

野呂:プロジェクトが始まった当初、メンバーが集まって顔合わせした時に頭がついていけないという状況でした。一人目の復職の時、会議に全然ついていけず、正直これで大丈夫だろうかと感じたことを思い出しました。復職する前にそういった経験ができたのは、とても準備になるなと思いました。
ミーティングしている間には、やはり子どもがぐずってしまったり、パソコンを触りに来てしまったりなどは多々あって、他のメンバーも含め、なかなか落ち着いて参加できないこともありましたが、誰かが議事録も取っていますし録画もしていたので、後で子どもが寝た時に内容を確認できて、ありがたく活動できたなと思います。

青木:私は普段、どちらかというと一人で仕事を回すケースが多いんですが、初めましてのメンバーとプロジェクトで成果を作れたのは一つ自信になりました。その中で、大して得意分野と思っていなかったことだけれど、チームの中では私のこのスキルが活きるらしい、誰かのためになるらしい、というのも少し見えました。例えば私は資料作成であまり綺麗なものは作れないと思っていたんですが、ドラフトを作るのは早いらしい。そういった気づきを仕事に活かせるといいなと思います。
子どもを持ちながら働くには、自分のペースだけでは回せないところがあります。協力を仰いだり、ヘルプを出したりしなければいけない場面があるんですが、そういう練習もできたなという風に思っています。

栗原:一番の影響は、強みが明確になって自信になったことです。いつもと違う分野、いつもと違うチームのメンバーの中で、どのくらいお役に立てるんだろうかと当初は不安に思っていました。結果、自分の経験してきた、クライアントの課題をヒアリングして、それをどういった形で解決するか考えて、関係各所と調整をしながら目標に向かっていく、プロジェクトを進行する力というのは、分野問わず使えるスキルで、それを身につけられていたことに気づけ、すごく自信になりました。自分にあるスキルに、さらに磨きをかけていきたいと思えました。
あとは、やはりチームメンバーとの出会いが刺激的でした。行き詰った時にちゃんと立ち止まって必要なことを見つけ出す人、すごい時短技を持ってる人、プロジェクトと生活の時間をきちんとメリハリつけている人…そういった働き方の面でも刺激を受けました。今後の仕事のパフォーマンスを上げるために活かしていけたらと思っています。

宮崎:ヒアリングでは町内会の方、70歳代から上は90歳代の方とお話する機会がありました。初対面でも率直なご意見を下さったりして、やり取りの中で「自分は人と話をするのが好きなんだな」と改めて気づかされました。色々な年代の方とお話するのはすごく楽しいことだし、そういう関わりも大事にしていきたいと思ったことがとても印象に残っています。
それから今回、ママボノでの町内会への支援を通して、責任感や役割意識を持って気持ちよくお仕事して下さる人がいる時に、効率的にこなすことが全て良いことばかりではないということ、効率化するところと役割意識を尊重して支えるところのバランスが重要であることを知り、勉強になりました。色々な人の立場や気持ちを考えて仕事していけるように活かしたいです。
ともにプロジェクトを作り上げた仲間ができたのも精神的にすごく大きいと思っていて、これから仕事で困難にぶち当たった時にも、「ああ、○○さんはきっとここでこういう仕事を頑張ってるだろうな」とか、そういう想像ができるような、精神的な支えになるような気がしています。

支援先とのコミュニケーションから得られた、「自分と社会」との関わり

――ママボノに参加して、また出産を経験したからこそ見えてきた社会課題や、今後のアプローチとして考えていることはありますか?

野呂:ママボノの活動をきっかけに、今まで全く目が向かなかったことに目を向けることができるようになったことで、今後ボランティアやそれ以外でも参考にできるのではないかと思います。また今回、子育て支援を行っている団体さんとのプロジェクトに参加したことで支援を提供する側のことを知ることができたのも、今後の役に立つのではないかと思っています。

坂本:今回の活動を通して、「一人一人が集まって街を形作っているんだな」と強く感じました。会社も一人ひとりの集まりで、一人が変われば会社も変わっていくのを感じてはいましたが、地域も一人ひとりが形作っていくものだと思いました。自分の住む地域に対して少し何か関わってみようという気持ちになっています。
例えば道端に落ちているゴミ。小さな子どもは歩くと拾おうとするんですよね。それに対して「汚いから拾わないで、触らないで」と言うのは、大人としてどうなんだろう?という問いが自分に返ってきたんです。タバコの吸殻ひとつとっても子どもが口に入れたら危ないので、そういうものがすごく身近に感じるようになりましたね。ベビーカーパトロールのような感じで、地域と連携して何かできないかなと今考えています。

栗原: 純粋に今回ママボノに参加して良かったことは、社会とのつながり、社会課題に向き合えたことです。今まで社会はただそこにあって、私はサービスを受ける側で、余裕のある人や志ある人がプラスアルファで貢献するもの、という感覚でいたんです。それは違うな、と。例えば、当たり前にあった地域の防災訓練やバザーも、目的をもって身近な人たちが助け合えるように作られていることが改めて分かりましたし、世の中に対する見方や感度が大きく変わりました。「一人ひとりが社会をつくる人であって、社会ってそこにあるものじゃなくてつくるものなんだ」と気づかせてもらいました。

津田塾大学の皆さんの感想(一部抜粋)

  • お子様も一緒に参加するインタビューは、とても新鮮で可愛らしく楽しい時間でした。育休中は育児と家事で精一杯と思っていたのですが、そんな中でも何かしてみたい、異業種の人と関わりたいという理由からママボノに参加されたこと、とても尊敬します。
  • 自分の強みを見つけられたというお話が印象的で、チームの中で自分が生かせるスキルや長所が見つかったのはママボノならではだと思いました。また、地域の課題や社会課題に対して、誰かがやってくれるまで待つのではなく、自分ごととして捉えて自ら行動するという姿勢は、自分も見習うべきだと思いました。
  • 「育休期間は育児をするための時間」としか考えたことがなく、ママボノは「育児期間だからこそできること」という言葉に衝撃を受けました。自分の中の「育休」という概念が180°変わり、将来の選択肢が増えたとても良い経験になりました。
  • 育休期間に自分のキャリアを見つめ直し、スキルアップの期間にされていることに驚いたと同時に、この活動は産後の復職に対する不安の解消や、準備の場になっていることがわかりました。
  • 最近は、産後うつという言葉をよく耳にするようになりましたが、このような活動は同じ母親として子育て等の悩みを共有したり相談するきっかけにもなり、前向きな気持ちになることにつながるのではないかと思いました。