支援者を支えるメンタリングの力/経験者トーク
支援者を支えるメンタリングの力 ~孤独・孤立に向き合う支援者のための対話~ 実施報告 <前半:経験者トーク>
「NPOメンタリングプログラム」の2024年度のプログラムが完了し、総括イベントとして、「支援者を支えるメンタリングの力 ~孤独・孤立に向き合う支援者のための対話~」を開催しました。支援を受けた団体の方とメンターとして参加くださった方の経験者トークに加え、スペシャルゲストトークとして、一般社団法人日本NVC研究所 代表理事 今井麻希子さんから見た「NPOメンタリングプログラム」の意義、価値について伺いました。 |
NPOメンタリングプログラム経験者トーク
NPO団体(メンティ):「ふれあい交流サロン 南正雀まるっと。」代表 茂上さつきさん
プロボノワーカー(メンター):知香さん
スペシャルゲストトーク/今井 麻希子さん
一般社団法人日本NVC研究所 代表理事/株式会社 yukikazet 代表
※スペシャルゲストトークのレポートはこちら
NPOメンタリングプログラム 経験者トークセッション
メンティー(支援先):茂上さつきさん/「ふれあい交流サロン 南正雀まるっと。」代表
団体紹介:南正雀まるっと。https://marutto-salon.org/about/
南正雀は、吹田市6ブロックで最も高齢化率が高く(29.8%)、市の中心にある行政サービスへのアクセスが不便など生活などに不安を感じている高齢者も多い地域。そこで気軽な地域の集いの場として、活動を開始(週3回月水金)。参加の多くが高齢の方で、仲良くなった地域の仲間同士でのつながりが生まれている。40代から80代のメンバー20名ほどがボランティアで活動。 (スマホ・健康・趣味の講座、介護予防体操、フードパントリー等)。
メンター:知香さん
メーカー勤務、人事担当。団体さんの課題の言語化などのプロボノ活動をGRANTで複数回経験。
活動のことも個人的なことも相談。和やかに、お互い楽しく関われたメンタリング
――今回メンタリングのテーマはどんな内容でしたか?
茂上さん:テーマやゴールが明確にあったというよりも、様々なジャンルで、本当に色々な話題について相談させていただきました。例えば、自身の家事と仕事の両立についてです。仕事が忙しくて、もう家がぐちゃぐちゃで、それを横目に仕事をこなして行かないといけない、そうすると仕事がまた山積みになる、そういう状況って働いている皆さんはどんなふうに日々こなしているのかな、ということが気になってご相談しました。団体についての話は、まるっとの活動での人間関係や、活動内のこと、「まるっとマルシェ」のイベントについてなど、本当にたくさんのことをご相談させていただきました。
知香さん:メンタリングの時間帯は仕事の都合もあり、お昼休みの時間帯に設定してもらうことが多く、2〜3週間ごとに45分間きっちりで進めていました。団体の課題にとどまらず、メンティさん自身のワークライフバランスに至るまで様々なテーマでお話ができました。進め方も臨機応変に進めていきましたね。プログラムの最初に、メンティさん側にこれを絶対やれるようになりたいですという明確なゴールがあったわけではなかったので、都度話したいことや抱えていることをお聞きして、楽しく進めていました。またメンター2人の進め方も、当初はメモ取り係、聞く係と決めていましたが、その役に全くとらわれず、2人がそれぞれの経験を話しながら、途中で役割も忘れてしまうぐらい楽しく進めていました。このように楽しく進められた背景には、メンタリングの初回でお互いに呼び名を「さっちゃん」「ともちゃん」というように決めたことで、和気あいあいとした雰囲気になったこともあるかもしれません。
――メンタリングと聞くと硬いイメージを持たれる方もいるかもしれないですが、とても和やかに進んだのですね。全部で6回のメンタリングでしたが、毎回、45分間に向けた準備はされましたか?
知香さん:大きな事前準備はしていませんでしたが、一度、ペアになったメンターが、前の回で茂上さんが相談したテーマに関して丁寧に準備して次の回で情報提供をしてくれたことがありました。私たちの周りにはメンタリングなどで他の団体を支援している、同じようなメンターがいるので、そういった方々にもアンケートを投げかけてくれて、その集計結果を情報としてお渡しできました。
茂上さん:そのような情報を渡していただけたことは本当に嬉しかったですね。さらに実際にメンターのお一人が仕事先のイベント会場に来てくださいました。もう、会ってすぐわかって、その時もハグしそうなくらい嬉しい瞬間でした。リアルでお会いできるというのも信頼関係が深まって、実際のお人柄がより伝わるなと思いました。
知香さん:私も次の「まるっとマルシェ」の時には伺おうと思って、予定表に入れていますよ。
背中を押してもらえる、立場を超えて知らない世界を教えてもらえる、双方に良い経験に
――メンタリングの中で印象に残っているエピソードなどありますか?
茂上さん:まずは先ほど話題に出たアンケート結果をいただけたことです。今回のプログラムでは悩みごとをしっかり用意しなければいけないと思って少し構えていたので、家事と仕事の両立の悩み事を、簡単にご相談したんです。そうしたら、まさかの次のメンタリングで、他のメンターの方々へも聞いていただいたアンケート結果を成果物としていただけたのが感激でした。その結果とともに、例えば「忙しい時は夜マックでもOKだよ」とか「多数派はこうだから、もっと開き直っていいですよ」という声をかけていただいて。心の荷が下りたような気がして、メンタリングについてもこんな感じでいいのかなと後半、打ち解けていけたように思います。
団体の活動については、「まるっとマルシェ」のイベントの協賛についてご相談したことが印象に残っています。このイベントは協賛で動いているのですが、協賛の話を新規で大きな企業へ、自分たちのように小さな任意団体が急に行くのはどうだろうか?という思いがあったんですね。その思いを何気なくポロッと言ったら、メンターさんご自身の経験をもとに背中を押してくれたんです。メンターさんがちょうどお仕事でそういった相談を地域や団体さんから受けるようなことをされていたので、その立場からも、もっとラフな感じでポンポン何も考えずにメールを送ったらいいですよって。なんだか心のバリアが外れたような感じがして、実際にメンタリングの後に、動き出せたんですよ。さらに結果的に本当にその企業から協賛をいただけて。トントン進んでいって、本当にありがたいなと思っています。
知香さん:私が特に印象に残るのは、茂上さんが課題を出してくれる中で、私たちには理解が難しい部分があったことについてですね。私たちメンターはNPOの運営のことがわからないので、その部分をペアになったメンターが途中で質問してくれたんです。具体的には、中間支援とはなんですか?というような割と初歩的なことを聞いたんですけれど。茂上さんがそれに対してとても丁寧に教えてくれて、その答えだけでなくてその意義や、茂上さん自身がどう思っているのかなども併せて伝えてくれたんです。それは私たちメンター2人ともすごく嬉しかったですね。気になったことは遠慮なく聞いていいんだという安心感が生まれました。そして「メンター」「メンティ」という役割、立場は設定しているけれども、それに関わらず、やはり知らない世界を教えてもらえるというのは、すごく嬉しくて良い機会だなと感じました。
毎回の終わりに視界が広がって前向きになれたメンタリング時間
――立場に関係なく一人の人間同士で対話することで発見があったのですね。全体を通してのプログラムの感想は?
茂上さん:ラフな感じでお話しできたことがまずよかったですね。ランチミーティングのような感覚でお話しできたことが、自分には合っていたと思います。そしてメンタリングの後は何か開けたような、視界が広がるように頑張ろうと前向きな気持ちになれました。例えると、私が関わる高齢の方で、白内障の手術後に、なんだか視界がものすごく広がったみたい、という経験談をよく聞きますが、まさにそんな感じなんですね。
知香さん:そんなふうに前向きになれると言っていただけるのはやっぱり嬉しいです。NPO団体を運営するというのは本当にすごいなと、メンターのペアともただただ感服していたので、そうした方のお役に少しでも立てていたのであれば、自分の自信にもつながってありがたいなと思います。きっとNPOの方は普段からものすごく色々と考えながら走り続けていますよね。そんな中で、私たちメンターはただお話を聞いているだけなんですけれど、ちょっとしたきっかけで、いわゆる白内障手術が成功するように視野や考え方は変わるというのは、ずっと走り続けている中で、立ち止まってお話の時間が取れたからなのかなと思います。
NPOの方にこそ、蓄積していく小さな悩みを吐き出して解放される機会を
――NPO側、メンティだけでなくメンターの皆さんも良かったと思えるプログラムになっているかなと思うと嬉しく思います。NPO団体の方向けに、支えられる支援の必要性という部分で、最後に茂上さんからメッセージをいただけますか?
茂上さん:普通に話せる友達はたくさんいるんです。世間話はできるけれど、地域に向けての市民活動やNPOに特化した話や悩みは、聞いてもらえたとしても本当の気持ちが伝わるのかどうかは、わかりません。NPOの活動に関わる話ってやっぱり誰にでも話せることではないんですよね。今回、そう言ったところを吐露できる場所があるということで、自分にとってものすごく前向きな気持ちになれました。この感覚を例えるなら、手の指の先に、目には見えないサボテンのような小さな棘が刺さっていてチクチクしている、それがメンタリング後には棘が取れてスッキリしたような気持ちに変化する。そんな感覚です。メンターの方達が特に何かをしてくれるっていうわけではないんですが、ちょっとした悩みを聞いて取ってくれて、自分で一歩踏み出すところを見届けてくださっている、そう思えています。こうした、誰かに話せない悩みを抱えているというのは、私だけでなく同じような市民活動、NPO活動をしている方は多かれ少なかれ抱えていると思うので、こういったプログラムがもっと広がればいいなと思います。さらにNPO活動ってハードルが高いと思われる方も多いと思いますが、そのハードルをなくしてもっとスムーズに活動する方が広がることにもつながっていくんじゃないかなとも感じます。
支援者を支えるメンタリングの力 ~孤独・孤立に向き合う支援者のための対話~
スペシャルゲストトークのレポートはこちら ▷
この記事は、ママボノ経験者の森亜希さんに作成いただきました。