ママボノNEXT「メンタリングプログラム」参加
増田麻衣子さんは、日本でお仕事をされている際の育休中にママボノに参加しました(2013年度)。その後、パートナーの海外駐在の同行で仕事から離れ、米国で生活。そこでコーチングに出会い、ライフコーチとして活躍されています。今回は、ママボノNEXTの1つのプログラムである「NPOメンタリングプログラム」(2022年度)に参加をしたご経験をお聞きしました。 |
ママボノ(第1期/2013年度)に参加いただきましたが、参加した理由や感想をお聞かせください。
子どもの頃から、世界がより平和な場所になればいいという願いがありました。世界の貧困、紛争、教育などの問題が、なぜだか心にかかっていて、そんなことから、ママボノ参加前から、プロボノには関心を持っていました。弁護士として働いた後、企業の法務部で勤務していましたが、世界をよりよくすることにもっと関わりたいという思いがずっとありました。そんな中でサービスグラントを知り、娘が生まれた時に、ママボノ参加者を募集していたので参加しました。 参加をしてみて、メンバーは、ママでありながら仕事もしているという違う顔もあり、ママボノにはその全人格で関わっている感覚があって、それがすごく心地よかったです。企業で働いているときには、自分は本来多面的でも、その中のごくごく一部だけを使っているような感じ。でも、ママボノのときには全人格の私として、もっといろいろな面を活かせている感じがして、自由で豊かな感覚でした。
その後、2022年度に「NPOメンタリングプログラム」へご参加いただきましたが、その前にコーチングを学び仕事にされていました。コーチングを始めたきっかけは何でしたか?
コロナの頃に、企業勤務の方の話を外部者が聴くというプログラムに、ボランティアのような形で参加したのがきっかけでした。何度か話を聞いていく中で、話を聞いた相手の方が花開くように変化していくのが感じられ、感動しました。その経験から、対話や問いかけから何かできるかもしれないと思い、そのひとつの手段として、コーチングを学んでみようと思いました。
「NPOメンタリングプログラム」に参加したきっかけや期待されたことについて教えてください。
アメリカにいるときに、定期的に送っていただいていたサービスグラントさんのニュースレターから、NPOメンタリングプログラムを知りました。ライフコーチを始め、対話でその人が持っているものを引き出す経験を積めていたところで「NPOメンタリングプログラム」の話があったので、経験を活かせるのではと思い、立候補しました。
支援先についてやメンタリング中にお話しした内容について、差し支えない範囲でご紹介をお願いします。
一般社団法人ドゥーラシップジャパンさんという、産前産後のママに寄り添いサポートする「ドゥーラ」を広げる活動をしている団体の、代表のメンタリングをしました。団体の中で関わっているメンバーのコミュニケーションをどうすればよりよくできるか、などの話を聞きました。(プロジェクト情報はこちら)
NPO支援をほかでもしていた経験からも、団体代表のサポートは大事だと思ったことからも、意義を感じました。
普段のライフコーチとの違いや、感想を聞かせてください。
個人にフォーカスするメンタリングと思って臨みましたが、メンティー(メンタリングを受ける人)が団体代表でしたので、メンティー自身=団体の活動というところもありました。ですが、団体の課題解決ではテーマが大きくなるので、それを整理するところをメンタリングで行いました。個人のメンタリングと団体の課題というところに、どうアプローチするかが最初は難しかったです。
また、NPOメンタリングプログラムはメンターが2人1組のペアとなりメンタリングをしますが、一緒に組んだペアのメンターが団体の課題解決をメインに対応して、自分は個人のメンタリングをメインに対応できたので、役割分担ができたことがメンターがペアでやる醍醐味だと思いました。
メンタリングをする中で印象に残っていることなどありますか?
代表のメンタリングに入る前に、団体のコアメンバーのミーティングにも参加をして、メンバーの想いを聞きました。団体に関わる皆さんの想いを聞けた経験は嬉しかったです。NPOの活動をしようという人にはすごく思いがあるので、それがより届くように、活動しやすいようになればと、とても思うことができました。
1つの団体にストーリーもあり、個人のストーリーが重なり合って団体になるのだと思います。NPOは1人1人ができないことを代わりにやってくれているので、改めて応援したいと思いました。
増田さんにとって、NPOメンタリングプログラムはどんな経験でしたか?
私は、人の内面が変容することのパワーを信じています。どんな人の変容も、素晴らしいと思います。
ことNPO、会社など1つの有機的な集まりでいえば、リーダーが変わることの影響力は本当に大きいと思います。そこで働く人やステイクホルダーへのインパクトも大きいので、そのインパクトを広げていけるという意味でも、このプログラムは意味があると思いました。
リーダーは一人で抱え込みがちなので、一定期間でも寄り添って聞いてくれる人の存在というのは心強いと思います。NPOメンタリングプログラムには、とても可能性を感じました。
ママボノとしてのこの取り組みも広がればいいと思うし、自分自身もコーチとして、そういったNPO支援の分野にも、関わっていきたいと思いました。
NPOメンタリングプログラムの参加について、迷っている方に一言お願いできますか?
ママって、聞くことを日々練習していると思います。どうやったら子どものニーズがより引き出せるか。コーチの勉強をしているわけではなくても、日々が学びに満ちています。だから、必ず活かせることがあると思います。復職している人なら、会社でどうすればよりいいコミュニケーションになるか、部下との1ON1などでも、知らず知らず身に付いていることはあります。コーチングや、それ以外でも何かのスキルを勉強していないと・・・ということは全くありません。相手の課題に対して純粋に好奇心を持って聴き、そこから、問いかける。それが相手の役に立つのだと思います。
自分のことは自分では気づかず、言われて気づくこともあります。また、聞かれたその瞬間に答えは出ない場合でも、その問いを抱いて意識しだしたところから、何かが変わっていきます。
そういった、自分が気づかないうちに実はすでに持っている、ご自身の経験やスキルを信じて、この団体気になる、この人をメンタリングしたい、という気持ちに、素直に従っていただけたらいいと思いました。
ペアでというところも、一人ではないので参加しやすい仕組みです。
「ありがとう」と言われることも、純粋に嬉しいものです。
NPOメンタリングプログラムやコーチングと社会課題解決の意義についてお聞かせください。
コーチングにはいろいろなレベルがあると思いますが、基本的な考え方に関しては、すべてのひとが学んでもいいと思っています。コアな答えはその人の中にあるというのがコーチングの考え方です。ティーチャーとは違います。相手の可能性やパワーを信じていて、素晴らしいと思っていて、その相手のパワーを信じて問いかけをしていくことで、その人の中にあるものが引き出されます。子どもとの関係でも一緒です。子どもを未熟な存在として見るのではなくて、自分は引き出しているだけ。そういう意味で、コーチング的なかかわりが社会に増えたら、社会課題解決のスピードも速くなる、気づきのスピードが加速するのではないかと思います。また、自分自身の声を聞くということも、大切だと思います。自分で自分の声を聞くこともそうですが、それを誰かに聞いてもらうことにはとてもパワーがあります。そして、聞いてもらうと、自分も聞いてあげたくなる。大事なのは、その好循環だと思います。
(※この記事は、2024年に渋谷のラジオでお話いただいた内容を元に作成しました。アーカイブはこちらからご視聴いただけます。)